枕の物語 vol.08
菖蒲の枕 枕の下に菖蒲を敷く。端午の節句に魔よけの風習がありました。

月5日の端午の節句は、かつて旧暦の6月上旬に、もともと中国で行なわれていた様々な魔除けの行事を、日本でも取り入れたことが始まりといわれています。菖蒲の節句とも言われるこの日には、菖蒲湯に入ったりしますが、現在ではほとんど失われている風習の一つに、枕の下に菖蒲を敷いて寝ると邪気を払うというものがあります。

 

枕の下に何か敷いて寝るという風習は世界各国にあり、17世紀のイギリスの占いの本には、月桂樹の葉を枕の下に入れて寝ると必ず正夢を見るというものが書かれています。その他、南天の葉を枕や寝床の下に敷くと悪夢を消す、また紫陽花の花を枕元に包んで置くとお金に不自由しないなどというものがあります。このような風習には願かけというだけでなく、眠りの中でも季節を楽しむという気持ちもあったのではないでしょうか。