枕の物語 vol.12
ヨーロッパの枕
蕎麦の原産地と伝来

蕎欧米などに旅行すると、日本との枕の違いに気付くのではないでしょうか。欧米で今日使われている枕は、十字軍遠征でアラブ地域からヨーロッパに伝わったと言われています。当時アラブ地域の人々は、毛織物の袋に動物の毛や綿を入れてクッションを作り、昼間はくつろぐときに、夜は枕に使っていました。この昼夜兼用クッションがアラブからヨーロッパに伝わったとき、はじめはお尻に敷いたり、背もたれとして使われていましたが、その後、頭専用の枕に用途を変えました。当時のヨーロッパは戦乱が長く続き、政情が不安定だったため、いつでもすぐ起きられるよう、半身起こした状態で眠ることもありました。枕をいくつもヘッドボードにもたせかけて、頭から肩、背中にかけてからだを包み込む大きな形で使用していました。寒さの厳しいヨーロッパでは、からだの冷えを感じることなく眠れるので、多くの人に受け入れられたのでしょう。

モンゴルの枕
クウェートの枕